ミャンマーの瞑想センターガイド

2020年4月6日月曜日

瞑想センター

t f B! P L

マハーシ瞑想センター カロー支部



ミャンマーにある様々な瞑想法


1,伝統式(ゴエンカ式)
2,スンルン式
3,モゴ式
4,マハーシ式
5,テーイングー式
6,パオ式
7,シュエウーミン式
番外編,タバワ式




1,伝統式(ゴエンカ式)

最初はサマタで集中力を磨き、その後ヴィパッサナーの修行に移る。

ヴィパッサナーは特定の対象を順番に観察していくタイプのもの。

対象はありのままに観察する。

ありのままとは「生滅」等、概念的に観る事なくリアリティにそのまま触れるように観る事。

とにかく座る瞑想一辺倒で歩行瞑想などというものはない。

最初にここで瞑想の方法を覚えた人は、他の何処へ行っても評判がいい。

わざとゆっくり歩いたり、対象を概念的に観たりする事がないからだ。

アジアや欧米は勿論、中南米や東欧のキリスト教圏まで広まっていて「ヴィパッサナー」と言えばこの方法を指す事が多い。

インドでは刑務所で犯罪者の更生に使われていると言うし、心理療法としての効果も高いとされ、今、世界的に注目されている方法でもある。

ヤンゴンの日本大使館のすぐ裏にはゴエンカ師の道場「ダンマ・ジョーティ」があり、シュエダゴン・パゴダの近くにはウ・バキン師の「インターナショナル・メディティション・センター」がある。

いずれも10日間コースや短期リトリートのみだが、長期でこの方法をみっちり修行したいという人には、ヤンゴンから北ヘバスで1時間ほど行った、モビ(Hmawbi)という村にある伝統派のセンター「テピュトヤ・ダンマ・イエッタ」がオススメだ。

ここの住職はゴエンカ師の直弟子でもある。

出家して修行に専念する事も出来る。



お問い合わせはこちら。

The Phyu Tawya & Mahamyaing Tawya
http://www.buddhistravel.com/index.php?id=123,629,0,0,1,0



2,スンルン式

安楽の法門スンルン式は足が痛くなければ始まらない。

だからまず座る時は床にゴザだけ敷いて結跏趺坐を組まなくてはならない。

そして最初に鼻から強く「フンッフンッフンッ」と息を吐き出す呼吸法を30〜45分やっておく。

それをやって肺の中を過酸素状態にしておいたら今度は足の痛み、もしくは他の何か強い感覚ひとつにポイントを絞り、それを1時間の間ずっと観察する。

観察のしかたは対象から「無常、苦、無我」を観てとるようにする事。

最初に呼吸法をやっておくと頭の中が真っ白になって何も考えられなくなるから、感覚の観察が容易になる。

お気づきになった方もおられるかもしれないが、実はこの呼吸法はヨガの「バストリーカー・プラーナーヤーマー」という行法だ。

伝説の格闘家ヒクソン・グレイシーが練習に取り入れていた事でも有名だ。

しかしミャンマー人たちはこれを「アーナー・パーナー」と呼ぶ。

実際にはアーナー・パーナーとは自然の呼吸に集中する事を言うのであって、このような意図的な不自然な呼吸を言うのではない。

だが仏教徒たちの間では、それをヒンドゥー教の行法呼ばわりする事はタブーとなっているので、たとえ違和感を覚えたとしても、くれぐれも野暮な話はしないように。

ここは何故か中国人たちに人気がある。外国人は W, B, M, l  ( World Buddhist Meditation lnstitute )でこの方法を学ぶ事が出来る。


 W, B, M, l

http://www.myanmarnet.net/nibbana/wbmi.htm



3,モゴ式

ここも硬い床の上に直接座って瞑想する。ただし足は組まなくてもいい。

そして時間割があり、1時間座る瞑想、1時間歩行瞑想、1時間法話と、3時間で1セットになっていて、それを1日4回繰り返す。

ここのヴィパッサナーは通常の「ありのまま」に対象を観察する方法とは違い「生・滅」の観察に専念する。

歩く時は「ステップが生じてステップが滅する」といった具合いに。そして座る時も「呼吸が生じては滅する」「雑念が生じては滅する」「感情が生じては滅する」「空腹感が生じては滅する」といった具合いに全てが生滅している事を観察する。

合い言葉は「ポウライ・ピャウライ」だ。食事中の味覚の生滅の観察が大きなポイントとなる。

そして足が痛くなってきたら・・・・・

この方法は簡単で判りやすくてミャンマー人には一番人気がある。

そしてここのシンボルマークは仏教理論を判りやすく円形の図表にした「パティッチャ・サムッパーダー」と言われるものだ。円形の図表を見かけたら、モゴ式のセンターと思っていい。


外国人はこの方法をシュエ・ワーウィン・ヴィパッサナー・センター(Shwe War Win Vipassana Center)で学ぶ事が出来る。

モゴ瞑想センターヤンゴン




4,マハーシ式 

マハーシ式の瞑想センターへ行ったらまず真っ先に指導者に報告しなければならない事がある。それは「足に痛みがあり、ズキンズキン生じたり滅したりしている」という事実だ。

それを報告しなければマハーシ式の本当の修行に入る事はできない。

マハーシ式では指導者が観察の対象を教える事はない。

修行者が観察している事について「それをやるならこうしなさい」とアドバイスするだけだ。

だから自分から言わなければいつまでも放っておかれて足の痛みではなく、他のものとの一体化を目指して修行する事になる。勿論それでもいいのだが、それだとマハーシに行った意味がない。

外人はミャンマー人と違って何も知らないにもかかわらず何も教えない所が多いので、この事をよく心に留めておかなければならない。

「マハーシ式で半年修行してもどうにもならなかったが、パオ式に移ったら10日でジャーナに入った」という人が多いのはそのため。

せっかくマハーシに行ったらマハーシの本当の修行をしたいものだ。

そこから今度はその痛みが瞬間瞬間1秒間に何万回も生滅を繰り返している事(パラマッタ)を観察するための強力な集中力(近行定)を養う修行が始まる。それは日々の活動の一挙手一投足に集中する事で達成される。ここがマハーシ式の最大の特徴だ。

ここでは仏教の伝統に従って鼻先の感覚を使って集中力を磨く事はない。

呼吸は腹部の動きで観察する。その方が「生・滅」と観やすいからだ。

更に問題なのはマハーシ式は在家者には気づきの修行の部分しか教えないから「マハーシ式はマインドフルネス瞑想」と思っている人が多い事だ。

それはとんでもない誤解であって、瞑想センターで本格的に修行するとなると一転してこのような対象に集中し、没頭する修行がメインになるので早トチリしないように。

また、マハーシ式の中には足の痛みの生滅の観察とは違った方法でジャーナに入る方法を教える指導者もいる。そのような指導者に遭った場合はその指導者のやり方に従わなければならない。

例えばヤンゴンのマハーシ瞑想センター総本山で長らく外人指導を担当していた故ウ・ジャテイラ長老は、身体感覚の無くなった部分を利用してジャーナに入る「アディターナ」という方法を教えていた。

だから以前はそこで長老に教わった日本人たちは皆アディターナを修行していて、同じマハーシ式のチャミ瞑想センターやパンディタラマ・シュエタンゴン瞑想センターで修行していた日本人たちとは話が噛み合わなかったものだ。

しかし長老の遷化後はマハーシではアディターナを教える事が出来る人はいなくなっている。

マハーシ式で外人を受け入れる所は次の通り。

マハーシ瞑想センター、パンディタラマ・シュエタンゴン瞑想センター、チャミ瞑想センター、チャミ・ミャイン瞑想センター、チュンピン瞑想センター

この中でちゃんとした外人向けの指導、つまり足の痛みの生滅の観察についての説明があるのは、パンディタラマ・シュエタンゴンの年末年始スペシャル・リトリートとチャミ・ミャインの外人向けの特別指導ぐらいしかない。だからマハーシの本当の修行をしたいならここへ。


チャミ・ミャイン瞑想センター

http://www.meditation-in-burma.com/en/index.php


パンディタラマ瞑想センター



マハシ瞑想センターヤンゴン総本山




5,テーイングー式 

最も過激なヴィパッサナー。修行も30人限定の少人数で、10日間から最大3か月までの短期リトリートによってのみ行われる。

座る時はこちらも座布団を敷かずに床に直接結跏趺坐で座るが、他の所と違うのは座る時間が長い事。最初は1時間から始まるが、慣れてくると5時間、そして9時間と座り続ける。

観察するのは勿論心身の現象の生滅だ。しかしここで強調するのはその「間」を観る事。

呼吸が生じては滅し、また生じて来るまでの「間」。雑念が生じては滅し、また生じて来るまでの「間」。そして足が痛み出したら・・・・・

決してビビる必要はない。初心者のうちからいきなり長時間座らせるわけではないのだから。

3か月かけて少しずつ時間を伸ばして行くというから、やる気さえあれば出来ない話ではないのだ。

実際それをやっている人は沢山いる。そしてそこまで行けば必ずや痛みが瞬間瞬間生じては滅する様子を観察する事が出来るだろう。

また、ここには寝る瞑想というのもある。

これは床に仰向けになって寝そべり、ある一つの感覚を対象に取り、それをずっと観察し続けるというもので、決して睡眠という意味ではない。

日本人修行者の間では、通称「天狗」で通っている。かなり厳しい所だが、ミャンマー国内に60以上もの支部道場を持っているあたりは、しっかりとミャンマー仏教徒たちに支持されている方法である事を確信させてくれる。


テーイングー瞑想センター



https://m.facebook.com/Theinngu32/

http://burmadhamma.blogspot.com/2015/08/thae-inn-gu-sayadaw-and-meditation.html?m=1


6,パオ式 

あまりにも有名で説明不要。テーラワーダ仏教の理論書「アビダンマ」に記載されたサマタ瞑想を忠実に再現した世界。

世界最大の瞑想センターであるモウラミャインにある総本山には、夏と冬の休み期間中には1000人以上の外人が修行に訪れる。

そればかりか同時期に標高800メートルの高原にある避暑地のピンウーリンにある支部にも200〜300人ぐらいは外人が集まっているという。

そればかりか同時期に標高1500メートルの高原にある寒いヘーホー支部にも数十人ほどの外人が集まっているというのだから、休暇を利用してパオで修行しにミャンマーを訪れる外人は果たしてどれだけいるのか?

同じ時期にシュエウーミンでは100人以上の外人が修行している。10倍以上か・・・全然スケールが違う。ちなみにマハーシ式で一番人気があるパンディタラマ・シュエタンゴンでは、恒例の年末年始スペシャル・リトリートに毎年200人以上の外人が参加する。

これだけ見てもこの瞑想センターがどれだけ修行者から支持を得ているかがよく判る。しかもここは他の瞑想センターが3か月、6か月と滞在期間を限定しているのに対し無期限で滞在させている上、支援者の数も多いから洗面用具やら筆記用具やらの日用品の寄付も多く、修行者は滞在するのに全くお金がかからない。

比丘になりたい人は出家して一生居られる所だ。

ただし戒律が厳しくやかましいから、その点は覚悟が必要だ。

よくパオから来た坊さんは他の寺の坊さんとトラブルを起こす。

そして他の寺の坊さんたちから「パオの奴らやかましい」と一緒に托鉢に行くのを嫌がられる。なぜならパオの坊さんたちは戒律をガチガチに守るからだ。

衣の色も独特ですぐパオの坊さんと判る。

しかしタイの森林派もそうだが、何でサマタの修行者たちはそうやって戒律ガチガチになってしまうのか?

マインドフルネスの方なんて・・・・・・・


詳細はこちら

https://www.paaukforestmonastery.org

https://www.mmtimes.com/news/peaceful-days-pa-auk-tawya-meditation-centre.html

http://www.pamc.org.sg

https://paauksociety.org




7,シュエウーミン式 

一切集中力を使わない純粋なヴィパッサナー。

いわゆるボディスキャンではなく「フリーフォーカス」という心が行った先々を観察する方法をとる。

創設者の故シュエウーミン・セヤドーは、戦後間もない頃の創設したばかりのマハーシ瞑想センターで足の痛みの生滅の観察を教えていた。

しかしその後脱退、大念住経(マハーサティパッターナ・スッタ)に忠実なシュエウーミン式を立ち上げた。(大念住経のやり方はフリーフォーカス)

自らの瞑想センターで足の痛みの生滅を観察していた修行者に「そんなものを観て人格は向上するのか?」と言ったというエピソードが遺されている。

自己を観察する事で人格の向上を目指す「学べる瞑想」がモットー。

アメリカのマインドフルネス瞑想センター「スピリット・ロック」や l , M , S (インサイト・メディテイション・ソサエティ)イギリスの「ガイア・ハウス」タイの「アーチャン・スメード・サンガ」など、同じマインドフルネス瞑想の団体と提携、協力体制にあるので、夏と冬の休み期間中には多くの外人が集まる。

これはジャーナ系の団体の相互に批判し合い、排他的、独善的な姿勢を貫く「不寛容」な体質とは対極の体質にある事を示している。

シュエウーミン&ウテジャニヤ 




https://m.youtube.com/watch?v=bqfA6lRrlaU

https://m.youtube.com/watch?v=3_8y9aNvyKU

https://m.youtube.com/watch?v=lnaslNMiMLs


番外編,タバワ式 

別名ミャンマーのインドとは、ヤンゴンから南にバスで1時間半ほど行ったタンリンという町にあるタバワ瞑想センターの事。

インドとはコルカタにあるマザー・テレサの施設という意味。その名の通りここは身障者や高齢者の介護のボランティアをしながら仏教を学ぶ所。

瞑想は特に指導者がいるわけではなく、勝手にやるしかないが、施設が施設だけに色々学ぶ事も多いと思われる。

瞑想よりもボランティアという人はこちらがオススメだ。またここには欧米人のちょっと心が病んでいるような人も多く訪れる。そんな癒やしを求める人にもここは最適な場所だからだ。


お問い合わせはこちら

https://www.google.com/amp/s/www.voluntouring.org/2018/10/10/buddhist-meditation-center-
thabarwa-myanmar/amp/

http://www.thabarwa.org

https://www.buddhistdoor.net/features/thabarwa-centre-a-refuge-for-the-homeless-in-myanmar




下のボタンをクリックしていただけますと励みになります。

にほんブログ村 哲学・思想ブログ 瞑想へ





XのPOSTは毎週金・土

ウ・テジャニヤ長老の著作物(無料日本語訳)

「DON'T LOOK DOWN ON DIFILEMENTS - 侮れない煩悩」入門編


「DHAMMA EVERYWHERE - ダンマはどこにでも」実践マインドフルネス


「AWARENESS ALONE IS NOT ENOUGH - 気づくだけでは不十分」マインドフルネスQ&A

当ブログからのお知らせ

《お知らせ》シュエウーミン瞑想センターの再開について

  最終更新日 2023.12.31

新着記事

お問い合わせ

名前

メール *

メッセージ *

このブログを検索

瞑想ブログランキングに参加中です

QooQ