瞑想センターでの外出、夜食、喫煙、飲酒と抜け道 

2020年5月22日金曜日

瞑想センター

t f B! P L

四方を塀で囲まれた瞑想センターは刑務所に似ている 



外出について  

  あるスイス人修行者がウ・テジャニヤ長老に「瞑想センターって刑務所みたいですね」と言った。すると長老も「私もオーストラリアへ行って刑務所を慰問した時に『瞑想センターみたいだな』と思いましたよ」と応えた。

瞑想センターという所は基本的に刑務所同様、一度入ったら刑期が終わるまで塀の外に出る事はできない。もし勝手に脱獄したら、その時は退去を命じられる。何か必要なものがあって買い物に出かけたいというのであれば、寺務所に頼んで買ってきて貰う事になる。大概の事は職員がやってくれるので、修行中の外出はしなくてもいいようになっているのだ。帰りの飛行機のチケットや、タイやらインドやらへ行くためのビザ取得のためなどにどうしても出たいという場合は、指導者の許可が必要となる。

これは殆んど、どこの瞑想センターに行っても同じ規則になっている。言わばミャンマーの修行道場の共通ルールだ。但し、数ある瞑想センターの中で一か所だけ外出の自由を認める異例の放任主義政策をとっている所がある。

そんな異端児のような瞑想センターはどこだ?というと、これはマハーシ瞑想センターの総本山という事になる。

ヤンゴンにあるマハーシ瞑想センター総本山、通称「ハミマハ」は瞑想センターの中にあって、刑務所スタイルをとらない事で有名な所だ。ハミマハとは「ハミティ・マハーシ」の略で、ハミティとはヤンゴン市内にあるひとつの町の名前だ。

マハーシ瞑想センターと言っても、ヤンゴン市内のあちこちに支部があるので、地元ではどこの町のマハーシなのか町名を付けないとちょっと判らない。東京で言えば新宿マハーシなのか?錦糸町マハーシなのか?吉祥寺マハーシなのか?町名を付けないと判らないみたいなものだ。

空港からタクシーに乗って「マハーシ・ササナ・イエッタまで」と言っても運転手は「どこのマハーシ?」と聞いてくるので、そんな時は「ハミティの」と言えばいいわけだ。

このハミマハは外出が自由な上に、近くにスーパーマーケットが幾つもあるし、ロッテリアはあるし、その他の日本食レストランもたくさんあるので、誘惑が多くて下手すると全然修行にならない。だが、いい気になって毎日外出しようものなら後で痛い目に遭う。なぜならハミマハの門前には常時門番がいて、出入りする人間を逐一チェックしているからだ。誰にも外出がバレていないようで、実はしっかり指導者に間接的に見張られている事になるのだ。そしてあまり外出が多い修行者はやる気がないと見なされて退去を命じられる。




夜食について 

瞑想センター内でお菓子を食べる事は許されているのか? 


 修行者は瞑想センターにいる間は八戒といって、①生き物を殺さない②他人のものを盗まない③性行為をしない(オナニー、同性間セックスも)④嘘をつかない⑤酒、麻薬等、酔うものを摂らない⑥12時以降は食事をとらない(お茶、コーヒーも)⑦装飾品を身に着けたり、歌や踊り、芝居等の娯楽に興じない⑧豪華なベッドに寝ない(贅沢な暮らしをしない)という仏教で定められている修行者の掟を守らなければならない。

従って昼の12時の鐘がなったら、それ以降は御飯もおやつも食べられない。だから慣れないうちは空腹が辛く感じられる。特にチャミ瞑想センターは、外人用瞑想ホールの隣が普通の家で、夕方になると晩御飯の匂いが漂ってくるので、目の毒ならぬ鼻の毒になる。あとはパンディタラマ・シュエタンゴンの外人用宿舎の隣も民家で、空腹時にいい匂いを漂わせてくる。腹減ってるのにフランクフルトか何かをジュージュー焼いてるいい匂いをかがされた事を思い出す。

しかし食物は全て禁じられている訳ではない。僅かながら許されているものもある。戒律で食べても良いと認められているのはまず砂糖類。ヤシ砂糖や黒砂糖、果糖や氷砂糖、蜂蜜、キャンディー類ならOKだ。あとはミャンマーにも日本のとソックリの梅干しがあるのだか、それも薬扱いになるので大丈夫。また、戒律に厳しい厳格シュエジン派という宗派のお坊さんでも、夕方ヒマワリの種を食べていたりするので、もしかしたらそれもOKかもしれない。

或いは飲み物は幾ら飲んでも大丈夫だからそれで飢えを満たす手もある。ジュースやら炭酸飲料は勿論、ドリンク剤を眠気覚ましに飲んでもOK。だが、牛乳は栄養のあるものだから食事と見なされて禁じられている。また、白人さん達はよく粉末のプロテインを水に溶かして飲んでいるが、実はそれも牛乳同様に食事と見なされる。

ちなみに牛乳やプロテインはタイ仏教では飲み物だから飲んでもいい事になっている。この辺の解釈は国ごとに異なるのが面白い。そしてお茶やコーヒーは何故かは判らないが禁じられている。しかしお坊さんはまずいが一般人は良いとされているのがシュエウーミンとハミマハだ。この辺は瞑想センターによって解釈が異なるようだ。こうしてみるとハミマハはユルユルだ。

日本人は糞真面目な民族なので、こういうルールはキッチリと守るから心配ない。だが、お隣りの国、韓国人達は我々とは対照的に全く守らない。韓国人の多くは夜食用の食料を持参して瞑想センターに来るのであまり影響を受けないようにしたい。

彼らがよく持って来るものはオートミールや麦焦がしといった保存食であり、調理の必要のないものばかりだ。それはシュエウーミンの宿舎の部屋にはライトと扇風機のスイッチがついてるだけで、コンセントがないため、部屋で調理する事はできないからだ。また、他の瞑想センターにしても部屋で調理なんかしたら宿舎中匂いが漂ってしまうような造りになっているため、何も作る事はできない。

だが、ただ一か所だけ部屋で調理出来る瞑想センターがある。それはハミマハだ。ハミマハの宿舎は他の所と比べて豪華で、各室シャワー・トイレ付きのワンルームマンションのようになっている。だから部屋で調理しても全然バレない。韓国人達はインスタントラーメンを持ち込んで食べる事が出来る。凄いのになると部屋でラーメンを茹でているのにそれを忘れて廊下で立ち話に夢中になって、火事を出しそうになった奴もいた。こうなるとミャンマーまで何をしに来ているのかサッパリ判らない。当然こういう修行者は即刻追い出された。


喫煙について 

 これも殆んどの瞑想センターでは許されていない。ただしミャンマー人男性の多くは隠れてやっている。だが、これもまたハミマハのような豪華な造りの部屋を与えられる所でなければ直ぐにバレる。だから普通の瞑想センターでは不可能だ。ハミマハは本当に何でもやりたい放題の所だ。誘惑が多過ぎて、ここで修行するには相当意志が強くないと負けてしまう。また、どうしてミャンマー人男性達にハミマハが人気あるのかが良く判るような気がする。

もしくは森林瞑想センターのコテージに住んでいる時でなければ出来ない。だが、バレたらこれも追放処分だ。実はシュエウーミンでは食後によくミャンマー人達が宿舎裏にたむろして何やらやっているのを見かけるのだが、あれも一服しているのだろう。せっかくの禁煙のチャンスだから、この際思い切って止めてしまえばいいものを。しかしそうやって隠れてやるのであれば、ちゃんと水を容れた灰皿を用意して、絶対に火事を出さないようにしなければならない。


飲酒について 



 これもバレたら即追放。だが、信じられない事に韓国人達の中には瞑想センターで酒盛りをする人々というのもいるから驚く。毎晩修行が終わってから何やら集まっているのがそれだ。こういう事が起こるのもやはりハミマハだ。まったく、修行者の部屋が豪華というのも考えものだ。

というか、韓国人達は最初からそれが出来る瞑想センターという事でハミマハを選んでいるのだ。リゾートとしか思っていない。これはハミマハが長老達ではなく在家の人の所有物になっている事と何か関係あるのだろうか?こちらの大長老様は雇われ住職さんなのだ。

ちなみにミャンマーにはヤシ酒なる天然の酒がある。これはサトウヤシという種類の砂糖の原料が採れるヤシの木があるのだが、それが天然の酒造りマシーンにもなるのだ。その木の枝に傷をつけて空き缶か何かの容器に紐をつけてその部分にぶら下げておけば、夜のうちにポタリポタリと甘ったるい樹液をたくさん垂らすので、朝には容器一杯の濃厚な砂糖水が採れる。これが砂糖の原料にもなるし、酒の原料にもなるというわけだ。

だが別にそれに何か手を加えるわけではない。ただこの天然砂糖水を放っておけば、暑さによって勝手に発酵し、昼にはビールぐらいの酒になり、夕方には焼酎ぐらいの酒になる。そしてミャンマー人達は本当にこの天然の酒が大好きなわけだ。だから田舎の人々は毎日農作業が終わった後は、みんなでサトウヤシの木の下にギターを持って集まって、飲めや歌えの宴となる。しかも酒代は全くかからない。何という世界なのか。こんな信じられない国もあるのだ。
 

ドラッグについて 

 ミャンマーを訪れるつもりがあるならば、この国のドラッグ事情というものを良く知っておかなければならない。この国は敬虔な仏教徒が8割を占める、修行者にとって夢のような国であると共に、世界有数のドラッグ生産量を誇り、覚醒剤からヘロイン、阿片、大麻まで何でも揃っている、常習者にとっても夢のような国になるのだ。

数年前まではシュエウーミンの門前にある雑貨屋で、大麻入りの葉巻きが堂々と売られていた。しかし最近は、店のお姉さんに聞いても「ない」と答えるようになってしまった。それが本当だとは思えないが、仏教徒として修行者には売らないようにしているのだろう。

また、瞑想センター内であっても、日本人と判るとやたらとしつこく寄って来る奴がいる。そして「車で迎えに来るから」と、修行を終えて帰る時に連絡するよう名刺を渡していく。だが、後でそいつに連絡をすると、連れて行かれるのはナイトクラブだったりする。実は彼はナイトクラブから、客一人辺り幾らのバックマージンを貰う客引きでもあったのだ。

店に入ると日本語の出来るボーイやホステスが出てきて「あるよ」とささやく。ホステスが馴れ馴れしく身体のアチコチを触って来る。今まで禁欲的に修行していた身にはかなりこたえるサービスだ。1錠僅かに3000チャット。日本円にして250円。そんな値段でドラッグが簡単に手に入ってしまうのだ。本当にミャンマーという国は信じられない国だ。
 
しかし、一度その味を覚えてしまったら最後、廃人への道をまっしぐらに突き進む事になる。被害妄想やら何やらで、もう修行は出来なくなるかもしれない。日本に戻って来ても売人を探してアチコチ彷徨うようになる。金が入れば全てそれにつぎ込むハメに陥る。もはや人間としての生活は出来なくなる。薬物の奴隷となってしまったのだから。

このように、瞑想センターという所は、実は誘惑の多い場所でもある。だからこそ修行に打ち込むためには持戒堅固である事が要求されるのだ。戒を守る事はつまり、自分を守る事になるのだから。


 そしてシュエウーミンに来たならば、誰よりも薬物依存症の苦しみを良く知っている元ヤーバー中毒の指導者、ウ・テジャニヤ長老に瞑想を教わる事になるのであった。




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  最終更新日 2023.12.31

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