【実践!マインドフルネス瞑想5】瞑想時の心身の状態

2020年7月12日日曜日

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四無量心 

瞑想時に次々と現れて来る対象を受け入れては手放すためには、何らかの四無量心が必要な気がする。やはり嫌悪感を持っていたのでは受け入れる事が出来ない。怨みのある相手でも赦してやるとか、負けを認めざるを得ない時には素直に認めるとか、こちらの方も少しは寛容にならないと対象をありのままに見るなどという芸当は不可能というもの。

しかし四無量心を持ってそのような態度でいると、何故か心も落ち着く。四無量心がある時には心の注意点もアチコチ飛び回らずに丹田に行っているような気もする。つまり、心が落ち着いている時には肚が据わって身体も安定しているような気がするのだ。これは一体どういう事なのだろう?



身体の状態 

欧米で凄く有名な日本人の一人に、宇城憲治氏という武道家がいる。恐らく欧米人が日本文化に求めている精神性というものを見事に体現された方だろう。この師範が海外で合宿セミナーを開催すると、欧米中から武道家という武道家250人もが参加してくるのだそうだ。

ウ・テジャニヤ長老がアメリカで瞑想リトリートを開催すると、100人以上も集まるので「凄い人気だ」と誰もが驚くのだが、人数だけで言えばその倍以上も集めるのだから、師範の知名度の程が良く判る。

その宇城師範によると、人が手を合わせて祈りの姿勢をとっている時というのは、身体も揺らがない状態になっているのだという。「マジかよ?」ではちょっと試してみよう。そのへんでヒマそうにしている比丘に頼んで実験台になって貰った。





普通に直立不動でいる時に横から押したら、直ぐにグラついて態勢が崩れたのだが、合掌した途端に彼の身体は安定した。そして確かに幾ら押しても足に根が生えたように動かなくなった。

比丘を押してもビクともしない・・・失礼しました 

心の状態  

そればかりではない、祈りというのは脳にも影響を与えていて、無心の祈りの時はベータエンドルフィン、オキシトシン、ドーパミンなどの脳内快感物質が分泌され、記憶力が高まり、集中力も増すのだという。逆に、欲や怒りにかられた祈りだと、ストレス物質であるコルチゾールという物質が分泌され、記憶の重要回路である「海馬」が萎縮してしまうのだという。

海馬とは、私もよく知らないが、何でも大脳辺縁系の一部で、海馬体の一部であり、脳の記憶や空間学習能力に関わる器官なのだという。また、認知症における最初の病変部位であり、最も研究の進んだ脳部位でもあるとの事だ。心的外傷後ストレス障害(PTSD)やうつ病の患者にはその萎縮が確認されるという。

つまり、我欲にかられた祈りは、自分自身に悪影響を及ぼしてしまうし、逆に、良い祈りは、脳内快感物質やら何やらが分泌されて、脳を活性化させるという訳だ。良い祈りとは我欲のない無心の祈りという事で、そしたらメッターメディテイションなどは最高の祈りの部類に入るだろう。

瞑想する姿勢は手を合わせて祈る姿勢とは異なるものの、これだって無心の祈り同様、無心になるためのものだから、やっぱり落ち着いている時には安定してビクともしなくなっているに違いない。だから瞑想中に四無量心を持って対象を受け入れる心のあり方というものは、そんな訳で心身の健康のためには凄い効果的なものになっている筈なのだ。

そしてそこから見えてくるものは、その海馬をそうやっていつも活性化させておけば、萎縮させて認知症に陥る事だけは免れるという将来の展望だ。言われてみれば確かに認知症の坊さん、尼さんというのは見た事がない。そればかりかミャンマーでは一般人でも一度も認知症の人を見かけた事がない。日本にいれば何処へ行っても出くわすのに。

話は違うが、ミャンマーでは麻薬中毒者なら何処へ行ってもいる。ここはそちらの方面では「世界一」でもあるからだ。しかしこれは日本人がその方面に走るのとは明らかに理由が違っている。こちらの中毒者は消費者ではなく生産者なのだから。つまりこれは貧困のため麻薬組織に利用され、麻薬の密造や密売に従事しなければならないハメに陥っている人がそれだけ多いという事だ。

僧院には80代、90代の坊さん尼さんがたくさんいて、中には半身不随になって、若い者たちに下の世話から何からやってもらっている人々もいる。しかしそういう高齢の大長老、大長老尼であっても、法要があれば文字通り担ぎ出されてきて、信者たちの前でシャキッとした態度で読経してみせる。決して頭の方は衰えていない。つまりそれは、そうやって日頃から海馬を活性化させている事と無関係ではないだろう。



90歳すぎの尼さん。いつも凄い元気さで若い者たちを圧倒する。




この尼さんが住んでいるのは、シャン高原にある戦前に建てられた古い尼僧院。この建物は戦時中は日本軍がアジトとして使っていたため、イギリス軍に銃撃された事もあるという。



終戦時この尼さんは12歳だったが、戦時中の事は今でもつい昨日の出来事のようにありありと思い出せるそうだ。

海馬を肥大化させる 

私の知人でミャンマーで10年近く瞑想修行をして、高齢になってから日本に戻ったおじいさんがいる。ミャンマーにいる間は凄く元気だったのだが、日本に帰るや否や認知症にかかってしまった。これは一体どういう理由だ?というと、だから、ミャンマーにいる間は海馬を活性化していたから何ともなかったのが、帰国して活性化を怠るようになってしまったために、海馬が萎縮してしまったと思われる。つまりこの修行は、決して止めてはならないのだ。

また、心に傷があって、その出来事のフラッシュバックに苦しんでいる人なども、海馬に萎縮が見られるという。そのような人も、たとえ瞑想中に辛い記憶が甦ったとしても、基本的には他の記憶同様に「OK」と受け入れなければならない。しかし、幼少時の虐待等、受け入れるのが困難なものは、決して無理をして観察したりしない。心が受け入れるのに充分な強さを備えるまで保留しておく。参考までに言えば、この瞑想はEMDRやバタフライハグ、タッピング等、他の心理療法と併用する事も可能だ。

医師やカウンセラーの治療を受けていたり、薬を服用していたりする人は、それを急にやめたりしないで、マインドフルネス瞑想を始めた事をちゃんと伝えて相談しながらやる。このあたりの事は、瞑想で病気を克服した経験者のウ・テジャニヤ長老が詳しいので、著書の中の病気の人へのアドバイスを参考にしながら無理をせずに試してみて頂きたい。

そんな感じで、萎縮した海馬を元に戻す事が出来るようなアドバイスが満載された、ウ・テジャニヤ長老の著作集を読まれたい方はこちらからどうぞ。これを読んで何とか海馬を膨張させ、肥大化させる事ができれば、こんな素晴らしい事はない。


96歳、首都ネピド仏教協会トップのウ・コウィタラ長老
ネピドに牛久大仏と全く同じ形、同じ高さの大仏を造る計画のリーダー。
肌の艶、色そしてそのみなぎるエネルギーはほぼ40代レベル。
お食事に招待されたときに私の二倍のご飯とおかずをサクッとめしあっがっていられた。
96歳でもお話は冴えまくってられる。





ウ・テジャニヤ長老の著作


「侮れない煩悩ーDIFILEMENTS」
https://somjapan.blogspot.com/2020/01/dont-look-down-on-defilements.html?m=1


「AWARENESS ALONE IS NOT ENOUGH − 気づくだけでは不十分」
https://somjapan.blogspot.com/2020/01/awareness-alone-is-not-enough.html?m=1


「DHAMMA EVERYWHERE - ダンマはどこにでも」
https://somjapan.blogspot.com/2020/03/dhamma-everywhere.html?m=1


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ウ・テジャニヤ長老の著作物(無料日本語訳)

「DON'T LOOK DOWN ON DIFILEMENTS - 侮れない煩悩」入門編


「DHAMMA EVERYWHERE - ダンマはどこにでも」実践マインドフルネス


「AWARENESS ALONE IS NOT ENOUGH - 気づくだけでは不十分」マインドフルネスQ&A

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  最終更新日 2023.12.31

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