前途多難のスタート
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移転先となる建物は現在物色中だが、当分の間は隣りのモビ(Hmoubi)という村にある、余所のお寺の一角を借りて暫定的な修行施設とし、ここで10月末まで過ごす予定だという。修行者たちは今のところ倉庫で生活しているらしい。ちなみにこのモビ村は、パオ瞑想センターの支部やチャミ瞑想センターの支部、テピュトヤ・ダンマイエッタなどの有名瞑想センターが集まっている修行の村としても知られる。
まるで寺子屋みたいなサカンジーの瞑想指導の様子
しかしサカンジー瞑想センターはまだ修行者も少なくこぢんまりとした所なので、別にそれで困るという事もないようだ。ただし今の施設はトイレが洋式の水洗ではない上に、シャワーも完備されていないため、バケツに水を汲んできて流したり洗ったりしなければならない不便さがあるという。
ミャンマーは10月末まで空港が閉鎖され、外国人の出入国が禁じられているため、瞑想センターで修行中だった多くの外人修行者が国内に閉じ込められたままになっている。しかも瞑想センターによっては外国人をみんな追い出してしまったため、行き場所を失いゲストハウスで4〜5か月も過ごさなければならないハメに陥っている修行者たちがヤンゴン市内にはゴマンといる。
もうこうなったら祈るしかない
日本人のS氏もゲストハウス暮らしを4か月も続けたそんな難民の一人だったが、幸いウ・サラナ長老がトラブルの真っ最中にも拘わらず手を差し伸べてくれたお陰で、8月の始めからサカンジーに滞在させて貰う機会を得る事ができた。
そんなS氏が現在のサカンジーの様子をレポートしてくれたので、ぜひ紹介させて頂きたい。
S氏のレポート
滞在に関して
現状、セヤドー(サラナ比丘)は、短期のヨギは受け入れていないようです。今は、ワサというのもあり、3ヶ月滞在しそうなヨギなら無問題のようです。
問題は、トイレとシャワーと部屋です。
設備は貧弱さを通り越した酷さです。ましてや、暫定的な場所のため、手を入れる=金をかける気が全く無いことです。
慣れれば、長期滞在できそうですが、どうなるでしょう?
瞑想に関して
今日は計9時間ですが、ヴィパッサナーからメッターに切り替えたので楽です。ここは、メッターで集中力を高めてから、ヴィパッサナーにスウィッチするようですね。
チャンミミャインとも、ちょっとやり方が違うようですし、なかなか興味深いです。
しかし、4ヶ月間、ほとんど瞑想をしていなかったので、1~2週間は身体は大変かもと思います。
ほんとうにだらけた生活を続けていたので。朝4時に起きれることが奇跡に思えます。3日前まで、1時に寝ていたのに。
食事は、ベジですが、欧州人住職だけあり、乳製品やナッツ類、フルーツを沢山くれるので、悪くないです。
朝食の時、ランチの分を取り分けるというのは初めてですが、悪くないシステムですね。
サラナがそこに現れると空間の空気が変わってしまう
なるほど、上の写真を見ると確かに倉庫のようだ。S氏は3月までチャミミャイン瞑想センターに滞在していたのだが、そこが閉鎖されてからというもの、滞在先が見つからず、ゲストハウス暮らしを余儀なくされていた。
だが救いとなるのは食事がいい事。ベジというのは菜食と言う意味だが、ちゃんとタンパク質やカルシウムの事を考えてくれているようだ。普通はどこの瞑想センターでも菜食というと「単なる肉抜き」の事で栄養バランスについては何も考えていない。玄米ではないのにカルシウムとか補充してないから、2〜3か月も滞在していると歯が弱ってグラグラしてくる。だがここではその心配は要らないようだ。
瞑想の本場ミャンマーに於いて、外国人でありながら瞑想センターの設立を企てる若きチェコ人ウ・サラナ長老。スタート早々躓いてしまったものの、こんな事ぐらいで凹む訳にはいかない。彼は必ずや立ち上がり、外国人による外国人のための瞑想センターを立ち上げてみせる事だろう。
という事で彼が今後どうなるか?同じ外国人として興味津々。また機会があればS氏にレポートして貰う事にしたい。
そんな訳で10月後半になって、もしミャンマーを訪れてサカンジーに滞在しようとお考えの方がおられれば、このような状況であるため、取り敢えずはタバワ瞑想センターの方に行って頂きたいという事だ。そこで定期指導に出向いているウ・サラナ長老に会って、サカンジーの状態を聞いて、準備OKだったら移る形にして頂きたい。
では最後にウ・サラナ長老の法話(英語)をポッドキャストでどうぞ。
シュエウーミンの現状
一方、シュエウーミン瞑想センターの状況だが、現在は閉鎖中で再開の見通しは立っていない。修行者は誰もおらず、広い敷地内には数人の坊さんが残って管理しているだけだという。
また、シュエウーミンの隣には「ダンマヴィバッジャー」というシュエウーミンの外国人比丘と比丘尼たちのための別館がある。ここには今尚数人の外国人比丘、比丘尼たちが残って修行しているという。
左から韓国人、別館の住職、ウ・テジャニヤ長老、ベトナム人、韓国人、韓国人、イギリス人
その外国人修行者たちが辛い思いをしないようにと、檀家さんたちからピザの差し入れが届いたという。こういう事があるからどうもみんな普段より元気になっているように見える。修行ばかりの日々だと元気失くなるのに。一番喜んでいるのはこの人、ウ・テジャニヤ長老。ただでさえ肥ってるのにピザなんか食べたらもっと肥る。
なお、この別館には比丘たちが運動不足にならないようにトレーニング室も設置されている。ルームランナーやエアロバイク、腕立て、腹筋用の器具などが揃えてあるのだ。長老もそこへ行って鍛えないとまた肥るよ。瞑想センターが再開されたらトレーニングする時間がないから今のうちにやっとかないと。
こんな感じでシュエウーミンの方は呑気にやってるようだ。サカンジーから見たらずいぶんリッチに見える。同じ比丘の生活とは思えないぐらいだ。しかしシュエウーミンの方はちゃんと修行しないと堕落への道をまっしぐらになる。こんな事ではあまりに楽で、ヘタすると「三日やったら止められない」の世界に入ってしまうからだ。この全然対照的な2つの瞑想センターだが、サカンジーとシュエウーミン、どちらが良いかを決めるのは修行者自身だ。